ウサギはなぜ嘘を許せないのか? (評価☆5)

レビュー

コンプライアンスという言葉だけでは言い表せない大事なことにあらためて気がつかせてくれる。とても考えさせる本。自分自身がどういう選択をするのか、じっくり立ち止まって考えているだろうか? 周囲の意見に安易に流されたりしていないだろうか?

コンプライアンス」はなぜか日本では「法令遵守」というとても狭い範囲で理解されることが多いが、これでは法律さえ破らなければ何をやってもいい、という間違った考えを助長することにもなる。それに別にこんな用語を持ちだすまでもなく、「正しい行いをする」「何が正しいのかを判断する」というのは、ビジネスに限らず生きていくうえでとても大事なことだ。


監修者である「さおだけ屋」の山田真哉さんも解説で次のように述べている。

なぜコンプライアンスを確立しなければならないのでしょうか。私なりに考えて出した結論のひとつは、取引する相手にしろ、売買する相手にしろ、その会社には正直であってほしい、ということでした。
(中略)
しかし人にやってほしいことは、まず自分からしなければいけません。「他人にこうあってほしいって思うからこそ、自分もこうしないといけない」、コンプライアンスというのも、結局、そこなのかなと思うようになったのです。
(中略)
法令遵守という言葉を鵜呑みにするのは危険です。コンプライアンスとは、この本にあるような「正直さが大事だよ」ということが本当の意味だと思うのです。単に、「信頼に応える」という意味だと思えるのです。

メモ

  • 人は相手の不正が許せない。それが仕事相手なら信頼は一生築けない。
  • 世間の人たちの多くは『正しくあること』に価値をおいているわけではない。
  • 人生の長いレースでは、モラルを破り続けるほうが余計に骨が折れる。
  • 人より多くした努力は、必ずそのぶん、大きな成功の結果となって返ってくる。
  • 問題を解決する方法は目の前の手段以外にもきっと何かある。
  • 笑われるのは、『正しくしている』証拠であり、未来の成功者への踏絵である。
  • 声をあげなければ誰にも聞こえない。事態は「改善」に向かわない。
  • 目先の得ではなく、本当の利益は、モラルを守る人にしか訪れない。
  • 大切なのは「早く」ゴールすることではなく、「悔いなく」ゴールすること。

ウサギの教え

  1. ほかのみんながしていることによって、自分の倫理観をこしらえてはいけない。ほかの人たちが正直で正しいことをしているとはかぎらないのだから。
  2. 正直で正しいことをした報酬は、受け取るまでに時間がかかる。
  3. "二者択一"という難しい選択をすることによって、倫理的な問題を考えてはいけない。選択肢はきっと、ほかにもある。
  4. 短期間で手に入るものに惑わされないこと。"短距離走者"たちはいずれつまずく。彼らに追い越されても自信をなくさないこと。
  5. 何も言わないことによって引き起こされる結果は、声をあげることによって引き起こされる結果より、つねに深刻である。
  6. 正しいことをした場合の結果と間違ったことをした場合の結果を冷静に考え、正しいことをすることによってもたらされるチャンスを生かすこと。
  7. 心にみじんも重荷を感じることなくレースを終えることこそが、本当のゴールである。寝ても覚めても嘘のことが頭から離れない。そんな状態でないことが、どれほど自由かよく考えること。


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?

ウサギはなぜ嘘を許せないのか?

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