青い目のサラリーマン、ザイバツを行く ☆☆☆

本屋でふと目にとまって購入した本。一気に読んでしまった。

著者は"ミツビシ"に14年間勤めたサラリーマン。もちろんただのサラリーマンではない。アイルランド出身で世界中を放浪したあげく日本に流れついて東工大で博士号を取得。そのまま日本に滞在して"ミツビシ"に就職し、外国人社員で初の正社員となり管理職にまでなったという異色の経歴の持ち主である。(ちなみに本書の中ではあえて一度も触れられていないが、"ミツビシ"というのは三菱電機のことである。読めばすぐわかる。)

日本の伝統的企業の文化や社風も、外国人から見るとちょっと風変わりというか奇異に見えるのだということがよくわかる。もっとも外国人じゃなくても日本人が見たって奇妙に感じることはたくさんあるのだが。

時々痛烈な批判も交えつつユニークで親しみやすい内容になっている。特に"ミツビシ"のような伝統的な日本企業に勤めている人や、私みたいに昔勤めていたことがある人は、読みながら苦笑いすることであろう。単なる日本企業批判ではなく、その中で14年間も努力して苦労した経験をもとに、良い点も悪い点も独自の視点で明解に語っているところがいい。

日本の大企業で働く外国人社員はたいてい、不当な行為を目の当たりにする。これは、決定を下す立場の幹部が他社で働いた経験がなく、今の会社のことしか知らないため、客観的に考えることができないのが原因だ。決定に問題が多々あることに幹部は気づいてすらいない。
(本書のエピローグより引用)

企業の幹部が耳が痛いところだと思うが、なかなか的を射た意見だと思う。


日本の伝統的な大企業にこれから就職しようと考えている人にぜひ読んで欲しい一冊。

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青い目のサラリーマン、ザイバツを行く

青い目のサラリーマン、ザイバツを行く