Joel's Strategy Letter (Joel on Software) ☆☆☆☆☆
ちょっと前の「面接で何を聞くべきか?」というエントリでも少し紹介した「Joel on Software」をようやく読み終わった。興味深い内容がてんこ盛りだったが、中でも「ストラテジーレターⅠ〜Ⅴ」がとても考えさせられる内容だった。
内容を簡単に要約すると、ビジネス戦略上(特にソフトウェア開発において)気をつけなければならない考え方についてJoelさんは次のように述べている。
- 有機的に収益を上げながらゆっくり成長するモデルか、Amazonのように急激な成長を目指すモデルか、どちらにするのかを明確にする(競合の存在、ネットワーク効果とロックインの有無などが鍵になる)
- ソフトウェアプラットフォームで成功するには後方互換性を重視する(鶏が先か卵が先かの問題を解決する)
- 競合製品からの乗り換えを狙うなら参入障壁を取り除く努力をする(乗り換えへの障害だけでなく、乗り換えたあと元に戻るための障害にも気を配る)
- パレートの法則(いわゆる80:20の法則)を鵜呑みにしない(8割のユーザが必要とする機能は全体の2割かもしれないが、その2割はすべてのユーザで同じではない)
- 市場のあらゆる製品には代替財と補完財が存在し、代替財の値段が上がるか補完財の値段が下がる場合、その製品への需要が増加する(スマートな企業は製品の補完財をコモディティ化しようとする)
ストラテジーⅠからⅤまでの各章をそれぞれ1項目にまとめるとこんな感じかな。最後の代替財/補完財について考えることに関しては、視点は異なるけれども「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)」でも市場の境界を引きなおす際のポイントとされていた。
Joelさんがここで述べている内容は、ソフトウェア開発だけではなくITサービスを提供する際にも非常に重要な観点ばかりだと思う。ということで自分の仕事にも生かしたい。
ちなみに本書では参考書籍が脚注にたくさん載っている。そのうち「ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち」と「ピープルウエア 第2版 ? ヤル気こそプロジェクト成功の鍵」は読んでみたくなった。Joelさんの会社の課題読書リストの邦訳版をまとめている方もいるようだ。
- 作者: Joel Spolsky,青木靖
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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