大事な何かをやめる、捨てるということ

年始に今年の目標をいろいろと考えて手帳に書いたりしていたのだが、まだ「何をやらないか」については整理できていない。何かを新しく始めることよりも、何かをやめることのほうがはるかに難しいことだ。最近読んだ本やブログにも、「やめることを先に決める」ことの重要性について語っているものがかなりある。ここでちょっとその辺について整理してみる。

本質的なもの以外は捨てる

404 Blog Not Found:惰訳 - 単純化の4つの法則

1. 全てを一カ所にまとめる
2. 本質的なものだけ抜き出す
3. 残りは捨てる
4. 残ったものを整頓する

元記事はZen Habitsのhttp://zenhabits.net/2008/01/the-four-laws-of-simplicity-and-how-to-apply-them-to-life/からだが、上記の4つの法則のうち、難しいのは3。2の選択ももちろん大切だし難しいのだが、残りを実際に捨てることができるかと言うと、こちらのほうがずっと難易度が高いように感じる。

大事なことを捨てないと新しいことはできない

http://cyblog.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=604

新しい水路に水を引いてくるためには、次のいずれかのアプローチが必要です。

 1.源流の水の量を増やす
 2.古い水路をつぶす

水が豊富にあれば、すなわち「やる気満々」であれば、勢いで前進することもできるでしょう。でも、いつまでも“水圧”を高く保っていられるものではありません。

そこで、余計なところに水が流れていかないように、古い水路はつぶしておくことが必要になってきます。

「やらないことを決める」ことがまさにこれ。

新しい水路、すなわち計画をいかに立てるかは、古い水路をつぶしてから考える問題なのです。

ここでは「古い水路をつぶす」と表現されている。また上記のエントリの中でも紹介されているが、梅田望夫さんも「ウェブ時代をゆく」についての講演で同様のことを述べている。
「たいしたことない自分」だから、本を書いた--梅田望夫氏講演:後編 - CNET Japan

ウェブ時代をゆく」を読んでくださって、わざわざ忙しい中講演会に来てくださったのは、この本を読んで価値があったと思って下さったということでしょう。でも、皆さんが何かをやめないとこの本を読んだことにはなりません。大事なことを捨てないと、新しいことはできない。

 この本の感想を見ると、「わくわくした」とか「元気が出た」とか書いてあります。一服の清涼剤としてこの本を使うのも十分なんですが、それを超えて水を飲むような読書のための本として使ってもらうためには、何か絶対にやめないといけない。大事なことをやめないとこの本のような何かはできない。

ウェブ時代をゆく」では、その核となる「第四章 ロールモデル思考法」の中で、「この思考法は行動が伴わなければ何の価値も生まない実学」であると述べられている。そして行動のための3つのアドバイスで本章は締め括られている。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

第一に、信号をキャッチできたら「時間の使い方の優先順位」を変えて、「勝負だ!」とばかりに好きなことに打ち込むことである。
(中略)
第二に、「時間の使い方の優先順位」を変えるにはまず「やめることを先に決める」ことである。それも自分にとってかなり重要な何かを「やめること」が大切だ。
(中略)
第三に、「長期「なりたい自分」と短期「なれる自分」」を意識して、現実的であることだ。

自分にとってかなり重要な「何か」をやめる、とあるが、その「何か」とは何なのか(What)、それをどうやってやめるか(How)の両方について考える必要がある。

時間管理でもっとも大切なのは「やらないことを決めること」

「年収10倍アップ」で今や時の人になった勝間さんもその著書「年収10倍アップ時間投資法」の中で次のように述べている。
無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法

時間管理でもっとも大切なのは「やることを効率化すること」ではなく「やらないことを決めること」です。

そして「黄金の時間を増やす5つのステップ」

  1. 現状の課題を把握する
  2. やらないことを決める
  3. 人に任せられることを決める
  4. 自分にしかできないことを効率化する
  5. 新しい動き方を統合的に実践する

のうち、4と5に取り組む前に1-3を着実に実行することを推奨している。また別の著書(効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法)でも「自分の価値を出せないところはバッサリ捨てる」技術が必要であると述べている。

自分がしたくないこと見つけ出し、それをやめる

最後に、2006年(2007年ではない)に読んだ本の中で最も印象に残った「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」では、個人の継続的な成功について私たちが知らなければならないたったひとつのことは、『自分がしたくないことを見つけ出し、それをやめる』ことだと言っている。そして「したくないこと、きらいなこと」を見つけだすヒントとして、4つの感情すなわち「退屈している」「満足感がない」「ストレスを感じる」「消耗している」に注意するようにすすめている。
関連エントリ: 何をするかではなく、何をしないか ☆☆☆☆☆ - セキュリティは楽しいかね?

じゃあどうすれば…

こうやって見てみると、同じ「やめる」でも、自分がしたくないこと、嫌いなことを「やめる」のと、自分にとって大切な何かを「やめる」ことは少しレベルが異なるのではないかと思う。したくないのに自分でもやめられなくなっていことをやめる、というのも習慣を変えることになるから抵抗がある。しかし大切な何かをやめることは、さらにそれよりレベルの高い難しさだ。それに大抵は「どれもこれも大切なことなのでやめられない」と考えがちなものだ。この問題にどう取り組むのがいいのだろうか? これは今年の一つの重要なテーマになりそう。


「シゴタノ!」にヒントになりそうな記事があったのでメモ。

あと上記の記事の中で紹介されていた本もちょっと読んでみようと思う。